小学生の初夏に、祖母が目の前で倒れて亡くなった。
愛をくれたおばあちゃんをもう永遠に取り戻せない。私は恐怖で過度のストレス状態に陥った。
どれだけ泣いたか分からない。
数日後、家の調査で警察が来た。父親が対応し、私は1人訳もわからず車の中で待っている。
天気の良いあたたかな午後。
風を入れるため少し開けていた窓の隙間から、タンポポの綿毛が風に乗ってスーッと
飛んできて、 ゆらゆらと、ゆっくりと 私の前に落ちて消えた。
私は何も考えず、祖母がただこのタンポポの綿毛へ生まれ変わり、私の身体の中へ入っていったのだと思った。それからタンポポを見ると、いつでも祖母の心を思い出す。